今日は何の日?
1945年(昭和20年)8月6日午前8時15分、アメリカ軍のB29爆撃機エノラ・ゲイが、広島市上空で世界初の原子爆弾を投下。
広島市街は壊滅。多くの命が失われました。
この歴史的悲劇から目をそむけることなく、犠牲となった多くの人々の霊を慰め、世界平和を祈る日として、広島市ではこの日を「平和記念日」としています。
ということで今回はこちら。
八月六日上々天氣(河出文庫)
長野まゆみ
1941年(昭和16年)から始まる1人の女学生、珠紀の物語。戦争が生活に影響を及ぼすなか、従弟の担任教師と結婚、そして広島に移る。そこで運命の日を迎えることに…。
始まりは昭和16年ですが、4年後に原爆が投下されることが分かった状態で読むのはなかなか切ないものがありました。じわじわ運命の日に近づいていくことに怖さを感じました。
序盤の友達とのやり取りは現在とそう変わらない、女子らしい屈託のない感じ。そして従弟の史郎とのやり取りもほのぼのしていました。
まだまだ子供だと思っていた4つ下の史郎が中学生になり、だんだんと大人に近づいていく姿を見て、珠紀の心境に少し変化が起きる。その心理描写が細やかで、2人にはずっといい関係でいてほしいなと思いました。
史郎の言葉にできない秘めた思いみたいなものをひしひしと感じて、心がぎゅっとなりました。
そして迎えた運命の日。実はこの日の描写はほとんどありません。私も正直つらいなと思っていたので、安心したというかちょっと拍子抜けしたというか…
でも原爆投下の「事実」はきちんと描かれています。
これは珠紀と史郎の物語なんだなと思いました。
原爆についての小説、読みたいけど少し身構えてしまう…そう思っている人に。
せっかく同じ時代にこの地球に生まれたというのに。なぜ争ってしまうのでしょうね。
1日でもはやく平和な世界が訪れますように…