今日は何の日?
1927年(昭和2年)のこの日、世界初のトーキー映画『ジャズ・シンガー』がアメリカで公開されました。
トーキー映画…映像と音声が同期した映画のこと。
「サイレント映画」の対義で「トーキング映画」の略語として使われていたそうです。
ということで今回は映画に関するこちら。
キネマトグラフィカ(創元文芸文庫)
古内一絵
老舗映画会社に新卒入社し、“平成元年組”と呼ばれた6人の男女。地方映画館で再会した彼らは、当時の“フィルムリレー”に思いを馳せる。大きく変わる映画業界と彼らの順風満帆ではない人生を描く。
最初の章は現在から始まります。主人公の1人である咲子の視点で進んでいくのですが、咲子には一体何があるのか?と気になる展開で、どこか釈然としない感じがして、いびつでうまくハマっていないような違和感を感じました。
そして1つのフィルムを各地の映画館に運ぶ26年前の“フィルムリレー”を通して、6人それぞれを描いていく形となっていきます。
・短大卒で入社した事務職の留美…彼女の生き方は正直あまり好きではないなぁと思いましたが、時代を象徴していたとも言えますね。
・映画に詳しく神経質な栄太郎…彼もクセありだけど、彼があの奥さんを選んだワケがわかる気がしました。
・体育会系で人に好かれる和也…彼がまだ結婚したくなかった気持ちもわかるし、逆に女性側の気持ちもわかる!でも彼の中ですっきり解決した感がありました。
・世渡り上手の学…調子のいい性格に育った経緯、そして本心を隠し続けてきた学のつらさが垣間見れました。
・まじめな咲子…理不尽なことが多すぎて読んでいてちょっと苦しい。けど心から応援したくなりました。負けるな!!
・帰国子女の麗羅…彼女の存在はとても心強かった!けど彼女も人知れず傷ついてきたのですね。
それぞれの個性がよく表れていました。
そして最後にはモヤモヤが晴れてすっきりと読み終えることができます!
当時の女性の立場をまっすぐに描いているのも印象的。
そのがんばりは無駄じゃないし、今自分のいる場所が望んでいた場所と違っていたとしても、ここからまた次を目指せばいい。そんなことを教えてくれる作品でした📙